カブトガニは見た目はカブトを被ったカニのようですが、実際にはカブトガニはサソリの仲間です。
カブトガニはカニではない
カブトガニは鋏角類(きょうかくるい)で、カニ、エビの仲間の甲殻類(こうかくるい)ではありません。ですからカニより鋏角類のクモやサソリに近い種類と言えます。
鋏角類の鋏角(きょうかく)は、顎のように、口の近くにつくられる付属肢で、名前にもある通り、はさみ(鋏)のような形だったり、ナイフのような形をしていたりします。鋏角はほとんどは口の前にちょこんとついています。
カブトガニは約4億4500万年前のオルドビス紀には存在していました。しかも、その頃からほとんど姿形を変えていません。またこの時代に生息していた全長1.7mのウミサソリも鋏角類ですが、ウミサソリはその後絶滅しました。
カブトガニのように大昔から姿を変えていない生物のことを一般に「生きた化石」と呼び、オウムガイ、シーラーカンスなどが有名ですね。多くの生きた化石は存在しますが、約4億4500万年前のオルドビス紀の時代から見た目が変わらないカブトガニは珍しいと言えます。
カブトガニは美味しくない
現生するカブトガニ類は4種類確認されているが、すでに絶滅した化石種を合わせると80種以上にもなります。
日本・台湾・中国沿岸・東南アジアに生息するカブトガニは4種類のうちでも最大サイズで、メスの体長は85cmに達するほど。地域によっては卵や肉を食用とすることもある
カブトガニ古くから日本の瀬戸内海で見られましたが、大きくて堅い体が漁の網を破るため、地元民にはあまり好かれていませんでした。また中国ではカブトガニを食しますが、日本人には食べても美味しくないため日本で生き残れたと思います。
医療分野での重要な役割
一番注目すべきことはカブトガニの血液が医療分野で重要な役割を果たしていることです。
内毒素を検出できる唯一の天然資源だからです。
カブトガニの血液は、細菌やウイルスに対する感染の早期警告システムとして利用されています。
特に製薬会社は、ワクチンや注射薬の安全性評価にカブトガニの血液を使用しています。
血液中の特定のタンパク質が内毒素(エンドトキシン)に結合し、その存在を検出することで、製品の品質管理や感染リスクを評価できます。
ヘモシアニン
カブトガニの血液は、ヘモグロビンではなく、ヘモシアニンという銅を含む色素たんぱく質を持っています。
ヘモシアニンは酸素と結びつかない状態では乳白色ですが、酸素に触れると青色に変わります。
この特性を利用して、カブトガニの血液は酸素濃度の変化を検出し、感染や炎症の早期診断に役立てられています。
このようにカブトガニの青い血液は医療分野で重要な役割を果たして私たちの健康と安全に役立っています。
実は生きたイカも血液はヘモシアニンで青い血です。
このようにカブトガニは名前からカニの仲間と思われていますが実はサソリの仲間です。また生きた化石と呼ばれ、約4億4500万年前のオルドビス紀の時代から同じ形で生息しています。カブトガニは4種類いますが、日本で生息しているカブトガニは世界で最も大きい種類です。昔は大きくて堅い体が漁の網を破り食料にもならない厄介者でしたが、現在ではカブトガニの青い血液が医療分野で重要な役割を果たしています。
実は生きたイカも血液はヘモシアニンで青い血です。
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